愛媛のデジタルリスキリングと働き方の未来:フォーラム開催レポート

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「正解」を出す場ではなく、「考え続ける場」を。

1月29日、松山市のマリベールスパイアで 「デジタルリスキリングフォーラムえひめ」を開催しました。デジタルリスキリングを軸に、働き方やリスキリングについて考え、地域の未来を一緒に考える時間。

個人、企業、行政、大学、支援機関、NPOなど。 ふだんは交わることの少ない立場の人たちが、 同じテーブルを囲みました。 参加者は39名。式場という少し特別な空間も相まって、 会場にはほんのりとした緊張感と、静かな期待が漂っていました。

デジタルリスキリングは、特別な話じゃない

基調講演に登壇したのは、 松山市最高情報統括責任(CIO)補佐官であり、 一般社団法人デジタル人材育成学会 会長の 角田 仁さん。
テーマは「デジタルリスキリングと地域」。

「今、日本では全分野で人材不足が深刻化しています」
そんな言葉から始まった講演は、 決して難しい専門論ではありませんでした。 むしろ繰り返し語られたのは、 “まずは身近なところから”という視点。 ペーパーレス、キャッシュレス、PDF化。 そして情報セキュリティ対策。 具体的な話に、会場のあちこちで頷く姿が見られました。

また、人材の話題では、 「地域人材の中から、デジタル人材を育てていくこと」 そして経営者に向けて、 「システム担当者の“味方”になってほしい」 というメッセージが語られました。

デジタルに関わる人ほど、 孤立しやすい。 だからこそ、管理する対象ではなく、 一緒に悩む存在として関わってほしい。 企業のDX支援に携わる先生だからこその思いが、言葉の端々から伝わってきました。

立場が違うからこそ、見えるものがある

後半は、 個人・企業・行政、それぞれの立場から デジタルリスキリングと地域について語るパネルディスカッション。

行政の現場から 松山市男女共同参画推進センター・COMS事業係の貞本さんからは、 愛媛デジタル女子プロジェクトが担当したリスキリング講座についても共有しました。講座にはお申し込みが殺到し、学びたいというニーズが確実に増えている現状が浮き彫りになったそうです。 学びたい人は確実に増えています。これからの働き方に関して、コムズではキャリアコンサルタントによる相談の場を設けて応援しているとのことです。

企業の立場から サイボウズ株式会社地域DXコーディネイターの久保さんは、 「kintone大国・松山にしたい」という言葉とともに、 松山が創業の地であることへの思いを熱く語りました。 働き方改革をリードしているサイボウズは、テレワーク中心の働き方を実践しており、社員の柔軟な働き方を推進しています。
「デジタルは場所を問わないからこそ、 子育て中の人にとっても選択肢になりやすい」 という言葉には、会場の空気が一層前向きになったのが印象的でした。

専門家の視点から 角田さんは、 「こうした取り組みを、ぜひ街全体に広げてほしい」 と語ります。 都会ではリモートワークが出社ベースに戻りつつありますが、地方には地方ならではの良さや働き方があるということです。「正解を追うのではなく、自分たちに合った形を考えるきっかけになれば」と続け、AIについても、**「過度に振り回されなくていい」**という言葉がありました。

ファシリテーターを務めた愛媛デジタル女子プロジェクト代表理事の飯野氏は、このフォーラムを開いた理由として、「学びの“その先”につながりをつくりたい」と語りました。
学ぶこと自体がゴールではなく、その後に人や現場、地域とつながり、みんなが連携し合うことで地域のエコシステムを作っていきたいと強調しました。この場が、そんなつながりを生み出すための“場”になっていけばという思いが込められていました。

「学び」を、点で終わらせないために

後半のグループトークでは、ミニワークを行いました。まず、参加者それぞれが現場で起きている働き方やリスキリングに関して「モヤモヤ」や「今引っかかっていること」を付箋に書き出しました。

  • SNS業務になると、なぜか女性に任されがち
  • 子どもの体調不良で休むのは母親が多く、キャリアが止まりやすい
  • リスキリングしたいが、何をどこで学べばいいのか分からない
  • DXやAIを導入したものの、活用しきれていない
  • 学びが“点”で終わり、次につながらない

どれも、特別な誰かの話ではなく、「ここにいる多くの人がうっすら感じていること」。付箋を貼りながら、頷き合ったり、静かに考え込んだりする様子が見受けられました。

その後はそれぞれの接続点を見つけ、「つながっていけば解決していきそうな未来」についてディスカッションしました。答えを出す場ではなく、”共有する”こと自体に意味がある時間でした。

特に、「学びが“点”で終わり、次につながらない」というモヤモヤは多くのテーブルから上がり、地域のみんなで連携していく大切さが浮き彫りになりました。

やさしいきっかけを、次へ

最後に、飯野氏はこう締めくくりました。
「この時間が、何かのやさしいきっかけになれば嬉しい。 また、こうした場を続けながら、愛媛をよくしていけたら」

すぐに社会が変わるわけではない。 でも、 立場を越えて集い、言葉にし、聞き合うことで、 少しだけ視界がひらける瞬間がある。 このフォーラムが、 それぞれの現場に戻ったあとも、 少しずつ効いてくる時間になったなら。 そんな余韻を残しながら、会は幕を閉じました。

また、愛媛デジタル女子プロジェクトはこのフォーラムを通じて、学びの先を意識した事業運営の重要性を再認識しました。 今年の活動には、このフォーラムで感じた「つながりの大切さ」を生かし、さらに深めていく決意を新たにしています。

これからも、個人、企業、行政、大学、支援機関、NPOなどのステークホルダーの皆さまと手を取り合い、愛媛の未来を少しずつ前進させていきます。



【当日の動画もぜひご覧ください】

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